無限にビジネスアイディアを創り出す「四則演算活用法」

なぜ、ビジネスアイディアに四則演算が有効なのか?

巷のビジネススクールでは、頻繁に「フレームワーク」について教えています。フレームワークとは、様々なアジェンダに対して共通して活用できる、分析・問題解決・戦略立案などの考え方の枠組みのことです。MECEやSWOT、3C分析などは、一般のビジネスマンにもよく知られています。

四則演算も、そのようなフレームワークの一つです。様々なビジネス課題に対して応用できますが、特に優れたビジネスアイディアを生み出したい際に効果を発揮します。

下記の記事でも記載したとおり、「アイディアとは、既存の要素の新しい組み合わせ」です。

■ スタートアップ・新規事業で絶対に外せない「ビジネスアイディアの基本原則」

ビジネスは、すべて、要素と要素の組み合わせで構成されています。まず、このことをイメージしやすくするために、既存のビジネスがどのような要素が組み合わさって構成されているか、考えてみましょう。上記記事で具体的な例を示していますので、この考え方がまだ明確にイメージできない方は、再度読み直してみてください。

そして、この「組み合わせ方」について、四則演算を応用することで、これまで越えられなかったアイディアの壁を突破できるようになります。それは、このフレームワークが、要素と要素を、これまで考えていなかったような組み合わせ方で捉え直すことを可能にするからです。

要素の四則演算とは?

要素と要素を四則演算するとは、下記の組み合わせを考えることです。

・足し算:要素に新しい要素を加える
・引き算:要素から何らかの要素を差し引く
・掛け算:要素と要素を掛け合わせてシナジー効果を生む
・割り算:要素をある要素の枠組みで分解する

例えば、「カフェ」という要素に、「ワークスペース」という要素を足すと、「カフェ型コワーキングスペース」というビジネスが出来上がります。こんな風にテーマを決めて、まずは、トレーニングとして思考実験をしてみましょう。

<要素の四則演算例>

・「カフェ」という要素から、「コーヒー」という要素を引くと?
→ 例えば…「緑茶専門カフェ」

・「カフェ」という要素に、「映画」という要素を掛け合わせてシナジーを生ませると?
→ 例えば…「オープンなスペースでコーヒーと軽食を楽しみながら見れる映画館」

・「カフェ」という要素を、「客単価」という要素で分解すると?
→ 例えば…「コーヒーは1杯200円だが、コンサルサービス1回5,000円が付くビジネスカフェ」

いかがでしょうか。このような形で、思考実験を繰り返していくと、思わぬアイディアが生まれる兆しを自分でつかめるようになるはずです。

この四則演算をマスターするために、具体的なアイディア出しのプロセスを掲載しますので、ぜひ参考にしてみてください。

Step1. 組み合わせ可能な要素を洗い出す

1-1.  新しく生み出したいビジネスアイディアのキーワードを1つ決める

まず、最初に行うべきことは、新しく生み出したいビジネスに関連する要素を洗い出すことです。そのあと、この要素の組み合わせ方をシュミレーションすることによって、新しいアイディアを次々と発想していくことが可能になります。

そして、関連する要素を効率良く洗い出すためには、まず、これから新しく生み出したいビジネスのコアとなるキーワードを1つ決める方法が有効です。

キーワードの決め方には、様々な切り口がありますが、この段階では、まだビジネスのコンセプトや具体的な内容などは定まっていない状況ですので、あまり複雑に考えない方が、アイディア出しには有効です。

このプロセスにおいて、キーワードを決める最もシンプルな方法として、これから新しいビジネスを始めるドメイン(=ビジネスの領域のこと)を決めることをお勧めします。例えば、先ほどの例に従って、新しいビジネスは、「カフェ業態」というドメインに絞り込むとします。「カフェ業態」は、どのような要素が関連しているかを洗い出していくということです。

このドメインを絞り込む際、経営コンサルタントがよく実施する手法としては、マーケットリサーチを実施して、今後の成長が見込まれ、かつ、競合が少ないマーケットを分析して、そこを新たなビジネスのドメインとして定義するというものです。しかし、そのようにして決めたドメインにおいて、自社の強みを活かせるかどうかは、また別の話ですし、どのくらいの利益を確保できるかも、実際には、たくさんの要因が複雑に関係してきます。

このプロセスは、あくまでも、アイディア出しのレベルですので、そこまで本格的なマーケットリサーチを行う必要はありません。まずは、「思考実験」として楽に考え、単純に自分が興味があったり、自社と相性が良さそうなドメインを気軽に選んでみましょう。

間違っていれば、また、アイディア出しを繰り返し行えば良いので、慎重に考え過ぎず、まずはトライしてみることが大切です。

1-2. キーワードに関連する要素を全て書き出す

関連する要素を洗い出す方法としては、マインドマップが有効です。真ん中に、先述したプロセスで決めたキーワードを書き、そこから放射線状に、関連する要素を連想ゲームのように可能な限り書き出していきます。マインドマップについては、下記の記事でも詳しく書いていますので、参考にしてください。

■ ビジネスアイディア発想力を100倍高める「マインドマップ活用法」

関連する要素と言っても、すぐに結びつきが考えられるようなものであれば、新しいビジネスアイディアは生まれません。連想ゲームのように、発想を繋げていって、どんどん拡大することが重要です。例えば、カフェ業態の関連要素を書き出していくと、このようになります。

枝先を伸ばせば伸ばすほど、これまで思いつかなかったような要素が浮かび上がってくることが分かると思います。しかし、全く無関係ではなく、枝を辿っていけば、きちんと元のキーワードにたどり着くので、組み合わせられる可能性は十分にある、ということなのです。

このようにして、洗い出した関連要素に対して、その組み合わせ方を次のステップから考えていきます。

Step2. 関連要素の四則演算をシュミレーションする

2-1. 組み合わせる要素を選別する

それでは、書き出した要素の組み合わせ方をシュミレーションしてみましょう。

1-2. のプロセスで書き出した要素について、それぞれのすべての組み合わせ方を考えていては、無限に時間が必要になってしまいますので、主な要素を選別します。そして、選んだ要素に対し、その他の要素を、3〜5つほど選んで掛け合わせてみるのが適切です。

この要素選びは、自身が頭の中に描いているビジネスに対するイメージを大切にしましょう。

カフェ業態の例で言うと、「みんながゆっくり話せるカフェを作りたい」というイメージがあるのであれば、「おしゃべり」という要素をキーワードとして、他の要素を組み合わせてみる方が良いですし、「ちょっと駅から離れていても、誰もが通いたくなるカフェを作りたい」というイメージがあるのであれば、「隠れ家」という要素をキーワードとして、他の要素を組み合わせてみる方が良いでしょう。

マインドマップに書き出していった要素は、多かれ少なかれ、もともとあなた自身がビジネスに対して潜在的に描いているイメージが投影されたものになっています。マインドマップは、その潜在イメージをキーワードとして書き出していくことで可視化し、かつ、それぞれの関係性を全体的に見るために、非常に有効なツールなのです。

ですので、どの要素を組み合わせの中心に据えるかについては、もともと描いていたビジネスイメージを最も忠実に表現しているものを選ぶと良いでしょう。

2-2. 要素同士の四則演算をシュミレーションする

カフェ業態の例を参考に、例えば、まず「おしゃべり」というキーワードを起点として、組み合わせる要素を「テック系」「JR線沿い」「椅子」「カワイイ」「出先での一休み」という4つを選んだとします。「おしゃべり」とこれらの要素の四則演算をシュミレーションしてみましょう。

<四則演算のシュミレーション例>

・カフェ業態:おしゃべり + テック系
→ ITエンジニアが誰でもフラットに喋れるコミュニティカフェ

・カフェ業態:おしゃべり – JR線沿い
→ JR から離れていても、おしゃべり仲間が集いたくなる長時間滞在カフェ

・カフェ業態:おしゃべり × 椅子
→ 思わず、友達を誘っておしゃべりしてしまう、超快適リクライニングチェア設置カフェ

・カフェ業態:おしゃべり ÷ カワイイ
→ 外観・内装・料理まで、すべてにカワイイ要素があって、それについておしゃべりが進んでしまうコンセプトカフェ

・カフェ業態:おしゃべり + 出先での一休み
→ 商業施設の買い物客が少し休んで友達とおしゃべりしたい時のための、クローク機能兼務カフェ

四則演算をシュミレーションする時のポイント

ここでのポイントは、
「実現可能性は無視すること」
「とにかく納得いくアイディアが出るまで数をこなすこと」
の2つです。

要素の四則演算によって、新しいアイディアを最低でも30個作ってみてください。ある程度の数をこなすことによって、その中から、このアイディアならビジネス化できると自信を持って言える原石が生み出されるのです。

そして、書き出した要素と要素の組み合わせをシュミレーションする際のコツは、「これとこれは組み合わさらないな」と自分自身の常識で判断するのではなく、「もし、組み合わせられるとしたら、何が実現しそうか」と、頭の中の枠を取っ払って考えてみることです。

「習うより、慣れろ」という言葉もあるくらいですから、まずは、ご自身でトライしてみてください。

Step3. 四則演算で生まれたアイディアから最も優れたものを選ぶ

3-1. 良いアイディアを選別する方法

最後に仕上げのステップに移っていきます。「生み出したアイディアの中から、本当に良いものだけを選別し、それを発展させる」というプロセスです。

数多くの四則演算をやっていくと、その中で、「これは実際にできそうだな」という自分で肯定できるアイディアと、「ちょっと、これはバカバカし過ぎるな」と自分でも否定的に感じるアイディアの2種類があることに気がつくと思います。

良いものを選別していく、最も効果的な手法は、「消去法」です。

  1. 「面白いかどうか」という基準が非常に重要ですので、自分で面白いと感じないアイディアをすべて消していきましょう。
  2. 「100%実現不可能なアイディア」も、考える時間を費やす必要がないものなので、消してしまいます。
  3. 「もうすでに世の中にあるアイディア」も、卓越性がないため、消してしまいましょう。

さて、この3つのステップで、どのくらいのアイディアが生き残ったでしょうか。もし、すべてのアイディアが消えてしまったとしたら、1-2で書き出した要素が少ないか、2-2の組み合わせの数が足りないか、のどちらかです。

残ったアイディアを改めて眺めてみてください。他のアイディアと比較して、極めて、優れたアイディアが残されていることに気が付くはずです。このようにして、思考プロセスの洗練と淘汰を受けて、それでも残ったアイディアだけが、本当に有用なものなのです。

3-2. 選別したアイディアを更に発展させる方法

さて、選別されたアイディアをこれからビジネス化に向けて具体的に進めていく必要がありますが、あくまでも、この時点では「原石」なので、光り輝くまで磨きをかけなくてはなりません。最後に、選別されたアイディアを更に発展させるプロセスを学び、これを実践してみましょう。

選別したアイディアをより細かく、要素分解をすることで、更に発展性のあるアイディアへ仕上げることができます。

例えば、先ほどのカフェの例を用いると、

「ITエンジニアが誰でもフラットに喋れるコミュニティカフェ」を分解した要素は…
・プログラマー
・Webデザイナー
・Webマーケッター
・IT起業家
・フラットに繋がる
・同じ課題を持った人が集まる
・コミュニティ
・いつでも気軽に来れる
・コーヒーを楽しみながら、自分の仕事に集中することもできる
・無料Wi-Fiあり
・月契約でフリータイムで使える
・毎週イベントあり

といったように、考えれば考えるほど、より細かい要素に分けることができます。そして、この分解された要素に対して、優先順位をつけ、どのポイントをより重視するかを整理しておきます。この作業が、ビジネスアイディア出しの次のプロセスである、「企画立案」に大いに役立つのです。

スタートアップや新規事業のビジネスモデルを作る際の1つの1つのプロセスは、やり込めばやり込むほど、その次のプロセスにおいて、大きなインパクトを与えます。ぜひ、十分な時間を確保して、このアイディア出しのプロセスにしっかりと取り組んでみてください。

 

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